マルジェラは1988年から今日に至るまで長く愛用されているブランドの1つです。
デザイン性や確かなテーラリングから男女問わず、ファンの方も多いのではないでしょうか。
今回は、マルジェラの歴史を紹介するとともに、マルジェラの魅力にも迫っていきます。
□マルジェラの歴史
メゾン・マルジェラは1988年にマルタン・マルジェラによってパリで創業されたブランドです。
マルタン・マルジェラはファッションの名門校で学んだ後、ジャン=ポール・ゴルチエに影響を受け、3年間彼のもとで修行を重ねました。
1989年にパリで発表したデビューコレクションには新たな切り口で挑みました。
今までは、ゆったりとしたシルエットが特徴的だったのに対し、細身のシルエットを提案したのです。
それだけでなく、モデルの顔を布で覆い、切りっぱなしの裾や縫い代を表に出す、斬新な服作りにも挑戦しました。
マルタン・マルジェラの服作りの特徴は、衣服の構造を一度解体してから再構築するというもので、「脱構築」や「デストロイ・コレクション」と呼ばれています。
その他にも、ミリタリーウェアや古着をリメイクしたファッションを提案したり、新しいものにあえて色あせやほつれといった加工を施して古着風にするスタイルを提案したりと、90年代のグランジファッションの流行に通ずるデザインを次々に打ち出しました。
ですが、マルタン・マルジェラ本人が表舞台に立つことは全くありませんでした。
メディアからのインタビューはすべて書面を通して行われ、顔写真を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。
そして、2008年にブランド20周年のアニバーサリーコレクションをもって引退しました。
引退後、2014年にジョン・ガリアーノがクリエイティブディレクターに抜擢され、ブランド名はメゾン・マルジェラへと変更されます。
足袋シューズやジャーマントレーナーといった初期からの代表作に加えて、ガリアーノが考案した5ACやGlam Slamなどの商品もブランドの新たなアイコンとしてその名を轟かせています。
アパレルでもトレンチコートや、パッチワークデニムを展開しています。
メゾン・マルジェラでもマルタン・マルジェラの、脱構築の精神は受け継がれているのです。
□マルジェラの魅力
マルジェラの魅力を3点紹介します。
1点目は、ブランド名をロゴで主張していないところです。
通常、多くのブランドはブランド名のロゴが入っています。
ですが、マルジェラの服には、服のジャンルを表す識別ラベルはついているものの、ブランドの固有名称を表すロゴは入っていません。
理由は、マルジェラではブランドにこだわることは良いこととされていないからです。
このことから、服に対する自信とブランドに対する固定概念を打ち破ろうとする信念が感じられるでしょう。
2点目は、デザインがシンプルにもかかわらず、個性的だということです。
マルジェラの人気商品に、エルボーパッチがあります。
人気商品にはシンプルなものが多く、着ることで大人の上質感を演出でき、洗練された大人の印象に仕上がります。
服で誇張しないけれど、どこか情熱を感じられる、そんな魅力がマルジェラにあるといえるでしょう。
3点目はデザインに遊び心があるということです。
2018年のSSコレクションでは、枕をモチーフにしたショルダーバッグがお披露目され、多くの人の興味を引きつけました。
このような遊び心が、日本人に好まれる理由の1つかもしれません。
□マルジェラのタグとは
先ほど、マルジェラの服には服のジャンルを表す識別ラベルがついていることをお話ししました。
これは、ブランドネームではなく、服そのものから価値を感じて欲しいというマルジェラの思いから誕生しました。
それぞれの番号にはどのような意味が込められているのでしょうか。
一覧をご紹介します。
・0 手仕事により、フォルムを作り直した女性のための服
・010 手仕事により、フォルムを作り直した男性のための服
・1 女性のためのコレクション
・4 女性のためのワードローブ
・3 フレグランスのコレクション
・8 アイウェアのコレクション
・10 男性のためのコレクション
・14 男性のためのワードローブ
・11 女性と男性のためのアクセサリーコレクション
・12 ファインジュエリーのコレクション
・13 オブジェ、または出版物
・22 女性と男性のための靴のコレクション
それぞれの番号にきちんと意味が隠されているところからも、マルジェラの遊び心を感じますよね。
意味を知ってから着ると余計に愛着が湧くかもしれません。
□まとめ
今回はマルジェラに着目し、その歴史や魅力を解説しました。
メディアにもほとんど顔を出さずに謎が多いマルタン・マルジェラ自身でしたが、その服はデザイン性、遊び心から人々の興味を引きつけています。
タグに込められた意味からも、服そのものの価値を感じて欲しいというマルジェラの情熱が感じられるのではないでしょうか。
