日本において歴史が長く、技術力の高い高級時計といえばどんなブランドが思い浮かぶでしょうか。
時計には好みも求めるものも人それぞれですから万人が求める時計ブランドというものも難しい話ですが、日本の時計ブランドを語るうえで忘れてはならないのがグランドセイコー。
日本で生まれ日本で育ち、今なお日本国内で存在感を放つブランドです。
□グランドセイコーという時計
*グランドセイコーという時計
高級時計といえばスイス、というのは誰もが知る揺るがない真実です。
紛れもない事実として、ロレックスをはじめ、オメガやタグ・ホイヤーなど多くの高級時計ブランドがスイスに集中しています。
そんな中で数多いスイスのブランドに肩を並べられるほどの技術力とブランド力を持つ国産メーカー、それこそがグランドセイコーです。
*グランドセイコーの美しさであるセイコースタイル
グランドセイコーにおけるデザイン的な特徴であるセイコースタイル。
1967年、44GSにおいて確立されたとも言われるスマイルは3つの理念と9つのコードで構成されています。
セイコースタイルでは、平面のダイヤルや12時の位置にあるインデックスはほかのものに比べて2倍の幅であることなど細部まで規定が決まっています。
一目でグランドセイコーであることがわかるそのデザインは、高級ブランドにおいて必須とされるデザインの一貫性を高い水準で満たしています。
□グランドセイコーの魅力とは
そんな高い技術力とこだわりを持つグランドセイコー。
時計ファンを魅了するその魅力とは、どこにあるのでしょうか。
1.確かな実績から導き出される高い技術力
グランドセイコーは精密加工技術であるMEMSで調速脱進機を作り出し、大変高精度な機械式時計を作っています。
機械式、クォーツ式、スプリングドライブ式など多くの種類で確かな技術力を知らしめて来ました。
2.美しいながらも高い実用性
グランドセイコーはケースやインデックスなどに精密な多面カットをした後、ザラツ研磨やポリッシュ加工で仕上げを行います。
複雑で美しい輝きは、高級腕時計としての貫禄を生みます。
無駄のない表情ゆえの機能性の高さも相まって、高い視認性を誇っています。
どこまでも腕時計の緩やかなカーブを活用したシャープな造形美こそが、セイコースタイルの骨格。
高級腕時計でよく見られる華美な装飾を逆に削ぎ落とした実用性の美しさこそ、グランドセイコーならではのデザインコードです。
3.その全てが国内生産
機械式時計は岩手県雫石町の雫石高級時計工房、クォーツ式時計及びスプリングドライブ式時計は長野県塩尻市の信州時の匠工房で作られています。
そのどちらもが完全な国内生産。
雫石高級時計工房は現代の名工や黄援褒賞といった高い技術の証を受賞した技能士をはじめ、日本の宝である高い技術を持つ時計師が多く在籍するマニュファクチュールの工房です。
信州 時の匠工房にあるマイクロアーティスト工房にも日本を代表する優れた技術者たちが集結しています。
常にスプリングドライブについて改良したり研磨技術を洗練したり、世界中で名高いコンプリケーションの開発を行っています。
□グランドセイコーはどんな歴史をたどってきた?
歴史の長いグランドセイコーには、その年月にふさわしい挫折と成功、苦難がありました。
それらからいくつか抜粋して見ていきましょう。
1.デザインの確立
燦然と輝くウォッチ。
そんなテーマを掲げて1967年に発表された44GSは、後々グランドセイコーの外装へと大きな影響を与えました。
3つのデザイン方針から9つのデザイン要素を備えて発表された44GS。
現代に至るまで日本の美を表現していると言われる多くのグランドセイコーが44GSの影響を受けたセイコースタイルです。
美的感覚、シルエット、デザイン方針。
セイコースタイルに詰め込まれた多くのものが44GSから生まれ、グランドセイコーのデザインを確立しました。
2.世界最高峰のクォーツ
セイコーの偉業として、1969年に行ったクォーツ機構の小型化があります。
それまで大型と呼ばれるほどのサイズであったものを、腕時計に収めたことははまさに偉業。
クォーツアストロンというモデル名として世界中に知れ渡り、数多の機械式時計を作っていたメーカーに衝撃を与えました。
これらのメーカーには機械式時計を作っていたグランドセイコーまで含まれており、しばしグランドセイコーはその影を薄めることとなりました。
グランドセイコー初のクォーツ機構を搭載した時計、95GSが発表されたのは1988年のこと。
20年近い時を経て発表された95GSは満を辞してという言葉に違わぬ出来であり、搭載された9Fクォーツは世界最高峰の精度を実現。
まさに復活劇の名に相応しい最高峰のクォーツ時計によって、グランドセイコーは世界最高峰時計ブランドの一角として返り咲きました。
□まとめ
グランドセイコーには数多くの伝説や豊富な種類の時計がありますが、その道のりは決して輝かしいものだけでできてはいません。
しかし、現在確かな技術力で日本が世界に誇れる時計ブランドとなっているのはひとつの事実。
いつか一本持ちたい時計ブランドといえるでしょう。